孤帆遠影碧空尽,唯見長江天際流
(かなたに見える帆影は青い空に飲み込まれ 長江が天の果てに流れていくのだけが見える)
唐の李白の詩「黄鹤楼にて孟浩然の広陵に之(ゆ)くを送る」より—
故人西辞黄鶴楼 煙花三月下揚州 孤帆遠影碧空尽 唯見長江天際流
「古くからの友人が西にある黄鶴楼に別れを告げ 春霞のなか花美しい三月の揚州に下っていく
かなたに見える帆影は青い空に飲み込まれ 長江が天の果てに流れていくのだけが見える」
古くからの友人孟浩然は、西の黄鶴楼(現在の湖北省武昌、長江沿いにある)に別れを告げ、東の広陵に向う(詩の題の「之」は「至」の意味)。春霞に錦のように花咲き乱れる3月に楊州に着くだろう。私は長江の岸辺に立って、兄のように敬愛する浩然が乗った船の帆が徐々に遠ざかり、長江と大空の果てに消えて行くまで見送った。今は、長江の水だけが天の果てに向って滔々と流れている…… 李白の友との別れに対する情感が、風景に溶け込んで鮮やかに描き出されており、味わい深く、余韻が尽きない。
中国と日本の外交関係正常化45周年を記念して、両国の旧世代の政治家たちの、大局を見極めた賢明な政策決定や、力強い話しぶりは今も記憶に新しい。1972年9月に田中角栄元首相が中国を訪問し、周恩来首相と会談した時、彼は特定のデリケートな問題についての発言には迷いがあり、その後の回想録で、帰国したら失脚に追い込まれないかと心配していたと語っている。中国の改革・開放の総指揮者である鄧小平が訪日した際、新幹線に乗った感想で、「前進をせかされている感じがする」と述べた。理性的かつ率直、進取の気概に満ちた啓発的な発言だった!
(編集者:秦川)