因嫌紗帽小,致使鎖枷扛
(絹の帽子が小さいのを嫌っていたが、罪に落ち手枷をつけられた)
『紅楼夢』第一回の「好了歌」より———
「因嫌紗帽小、致使鎖枷扛。昨怜破袄寒,今嫌紫蟒長。乱哄哄你方唱罷我登場、反認他郷是故郷。甚荒唐,到頭来都是為他人作嫁衣裳」
「絹の帽子が小さいのを嫌っていたが、罪に落ち手枷をつけられた。昨日は破れた上着では寒さに凍えていたのに、今は紫の礼服の裾の長さを嫌がっている。おまえがでたらめな歌を歌い終われば私が登場し、他郷のことだと思っていたが、実は自分の故郷のことだと認める。実に荒唐無稽だが、結局は、他人のために嫁入り衣装を作っている。」
「紗帽」とは古代の官吏の黒い紗の帽子のことで、官吏の象徴だ。「紫蟒」とは、古代の高官の衣装である。「他郷」とは、名声や富、妻、家、子供、孫などの世俗的な生活を指す仏教用語だ。「故郷」も仏教用語で、世界から離れて幻想や死に戻ることを指す。「反認他郷是故郷(他郷を私の故郷として認める)」とは、名声と富を慕う官僚の内なる世界への直接の攻撃だ。
次のように現代の詩で表してもいいだろう:
「官位が小さいのが不満で昇級しようと頑張っている人は、おしまいには枷でを首を絞められてしまい、昨日はぼろぼろの上着を着て寒すぎると嘆いていたのに今は紫の礼服の裾が長すぎると言っている。大騒ぎしてはこの人が倒れれば、その人が舞台に登場するのを見た。富と地位に取りつかれて、故郷の家族の生活なんか構っちゃいない……ひどい奴らだと思わないか? はっきり言ってしまえば、一生よそ様のいいカモってことだ!」
(編集者:秦川)