読み方
楓橋夜泊<張継>
月落ち烏啼いて 霜天に満つ
江楓漁火 愁眠に対す
姑蘇城外 寒山寺
夜半の鐘声 客船に到る
ふうきょうやはく<ちょうけい>
つきおちからすないて しもてんにみつ
こうふうぎょか しゅうみんにたいす
こそじょうがい かんざんじ
やはんのしょうせい かくせんにいたる
詩の意味
月は沈み夜烏(よがらす)が啼き、霜の降りる気配が天に満ち満ちて、冷え込んできた。川岸の楓(かえで)の木々の間には漁火(いさりび)が点々として、旅愁のためにうつらうつらとして眠れない私の目に映る。
もう夜明けも近いのかなと思っているところへ、姑蘇城外の寒山寺から打ちだされる夜半を告げる鐘の音が、私の乗っている旅の船にまで響いて来たのであった。
鑑賞
寒さとわびしさに震えている張継
おそらく南方の地方官に赴任を命ぜられたころの作ではないでしょうか。都を出たころにはまだ暑さも残っていましたが、もう霜の降る晩秋なのです。船の外はまだ暗闇ですが、近くには漁火がちらついています。もうすぐ夜明けだと思っていたら、近くの寺から真夜中を告げる鐘の音が聞こえて、暁までには時間があるなと思い直し、夜具を掛け直しているせつない作者が偲ばれます。