かつて、東北本線の上野駅~仙台駅間を走っていた「ひばり」という特急がある。デビューは1961年(昭和36年)、不定期列車としてだが、2年後には定期列車に昇格している。その後「ひばり」は増発を続け、1978年当時は15往復を数えた、いわば「エース」的存在となった。
しかし、新幹線が開業すると、在来線の特急列車は容赦なく廃止の憂き目にあう。「ひばり」も例外ではなく、1982年の東北新幹線開業にともない、その姿が消えた。列車愛称が新幹線に受け継がれるケースも少なくないが「ひばり」は選ばれなかったためだ。
さて「ひばり」といえば、戦後を代表する歌姫・美空ひばりさんを思い浮かべる人も少なくないだろう。美空ひばりは昭和12年(1937年)5月29日生まれ。そう、ご存命ならば85歳を迎えたところだ。亡くなったのは平成元年(1989年)6月24日。まるで昭和の終焉とともにこの世を去ったようだ。
閑話休題。さいたま市にある鉄道博物館に「クハ481」という電車が展示されている。「ひばり」として活躍した車両だ。往時のヘッドマークが掲げられた姿は美しい。
特急列車・ひばりも、歌手・美空ひばりも、多くの人の心に、いつまでも残り続ける存在のように思える。