十二月に入り、師走という言葉をしばしば耳目にする。もともとは陰暦の十二月の呼称だが、なぜか太陽暦になっても「十二月=師走」と使われているのは、日本人にとって「年の瀬 → 忙しい → 何かと走りまわることも多い → 師走」という連想ゲームのようなものかもしれない。
「師」は、伝統芸能の師匠や、医師・薬剤師などの専門職、あるいは学校の教師などで使われている漢字だが、本来は僧侶のことだったといわれている。
昨今、僧侶のお世話になるのは、葬儀や法事、お盆やお彼岸といったときが多いが、かつては、正月前に先祖の霊を弔う習慣が一般的で、そのために僧侶が忙しい日々をおくったことから「師走」となったらしい。
さて、走るのは人だけではない。自動車もバスも走るし、列車も走る。新幹線や在来線の旅客列車が人を運んでいることはいうまでもないが、日々、走り続けている貨物列車の存在も忘れることはできない。華やかさはないが、日本の物流を支える担い手である。