「八月や 六日 九日 十五日」
残念なことに、どなたの作品かはわからない。だが、この時期になると必ず思い出す一句である。昭和20年の8月、6日は広島に、9日には長崎に、原爆が投下され、甚大な被害と多くの犠牲がもたらされた。そして迎えた15日、太平洋戦争は終結した。
戦時中、日本各地では米軍による空襲を経験した。都市部はもちろん、鉄道もその例外ではなかった。現在、さいたま市の鉄道博物館に展示されている「EF55」という電気機関車には、機銃掃射を受けた跡があると聞いた。実物を見ても、弾痕を見つけることはできなかったが、昭和11年に製造された車両であり、戦争の生き証人であることには間違いない。今回は「第55回」ということもあり、この電気機関車をとりあげた。
焦土と化した日本は戦後の復興に邁進し、のちには高度経済成長を遂げ、先進国としての地位を固めた。オイルショックがあろうと、バブル景気とその崩壊があろうと、なんとか乗り越えてきた。しかし、ここ数十年の経済は低迷、さらにはコロナ禍によって、厳しい状況にある。77年という時の流れは、やはり並大抵のものではないと思う。
さて、この先の日本は、どこに向かって進むのか。先行きの見えない日々はいつまで続くのか。何はともあれ、今を懸命に生きるしかない。